の歴史


〜1987年GS音源誕生前夜
まだDTMという言葉がなく、コンピュータミュージックと言っていた時代。 コンピュータミュージックといえば、PC内蔵のFM音源で演奏させることが支流だった。
PCの音源もピコピコ音のPSGから、 キラキラ音のFM音源になって、より一層表現力も増し、特にゲーム音楽の成長に寄与する。
そのFM音源もPC−8801シリーズのサウンドボード2や、 X68000等、高品質音源を搭載したPCの登場。 パソコン少年の味方MSXにもFM音源であるMSX−MUSICに対応した安価な音源カートリッジ FM−PACが登場。これにより、一気にコンピュータミュージック市場が広がる。
こんなPC内蔵だった音源時代に、ローランドから鳴り物入りで入りで登場したのがコンピュータミュージック向け音源、MT−32
MIDIインタフェイスを必要とし、そのインタフェイスを通して外部の音源MT−32を演奏。
それはもう、今までせいぜい十数和音程度しか演奏できなかったFM音源を駆逐し、ゲーセンのゲームより良い音がする夢の箱だった。
そして、このときDTMという言葉が生まれた。しかもこの時代MT−32の対抗機もなかったことから、事実上「DTM=MT−32」という構図が出来上がった。
1991年GS音源誕生!
やっとMIDIがシンセ業界に広まり、MT−32のようなマルチティンバー音源が各社から発売されるようになると、 各社音源の互換性の問題が出てきた。
例えば、ヤマハの〇〇という音源で作られたデータは、ローランドのMT−32では、鳴ることは鳴るが、全く異なる楽器(音色)で鳴り、演奏がめちゃくちゃ…。 まともな演奏にならない。そこで機種やメーカが違っていても、ある程度のニュアンスは保ったまま演奏できるようにと、MIDIデータの共通フォーマットGM規格が出来上がる。
しかし、そのGM規格は音の広がりを持たせるエフェクト等の共通化は図られていなかったので、その辺を共通化したGSフォーマットをローランドが発表。 そして、そのGS規格に則ったSC−55を発売。
これが当たった!これまでのディファクタースタンダートだったMT−32の次世代機SC−55。しかも当時先端のWavetable音源!
そんな感じで受け入れられ、またMT−32の音色配列も搭載し、下位互換性をある程度担保。乗り換え移行もスムーズに進む。
1993年GS、成長期。
これまでにSC−55の姉妹機SC−33CM−500等が発売される中、この年、SC−55のマイナーバージョンアップ版 SC−55mkIIが発売。これが決定打となった!!
音色数がちょっと増えたのと、同時発音数が24から28音に増えた。これが大きかったんだと思う。
この時期になると、ほとんどのMIDI音源対応ゲームはMT−32か、SC−55(もちろんmkII含めて)に対応!!と、その座は揺るぎないものになる。
世の中のほとんどがSC−55mkII対応。例えば、GM音源対応MIDIデータでも、このSC−55mkIIを基準に作られているので、SC−55mkIIで聞くのが一番自然。
MIDI音源何買えばいい?SC−55mkII買っておけば、間違えない!そんな時代。
1994年
GS vs XG戦国時代に突入!
この状況を面白く思わないメーカがあった。老舗のヤマハ。
かつてFM音源でコンピュータミュージック界の王者だったのに。
FM音源搭載PCは、みーんなヤマハの音源チップだったのに、、、DTMになってから、ローランド。
ということで、それまでGM規格の音源しか出してなかったヤマハから、独自規格XGを提唱し、 その対応音源MU80を発売。SC−55と単純比較すると、2倍の性能を持つ。
どうなるGS音源!!っと思ったが、この年、同じくSC−55単純性能2倍のSC−88が発売。
既に市場で数多く発売されていたMIDIデータや、対応ゲームなどは、全てSC−55対応!そのSC−55の音色をほぼそのまま演奏でき、 さらに性能2倍という、SC−88。GS市場は微動だにせず。
1996年GS絶頂期!
ヤマハのXG攻勢は続くが、ここでDTM界王者の決定打となるSC−88Proが発売!
1000を超える音色数も去ることながら、ローランドDTM向け音源ではじめてインサーションエフェクトが付いた!
このエフェクトの効きが良い!例えば、歪系のDistortionやOverdriveなんかを、ホンモノのギターに様にクリーンギターの音色にかけると、 もうそれは、ホンモノのギターっぽい感じになる。
実は、このインサーションエフェクト、MU80にも搭載されていたのだが、今一つ利きがわかりづらかった。
クリーンギター音色にかけてもあまりよくわからないし、結局はディストーションギターや、オーバードライブギターの音色にかけていた感じ。 だから、確かに歪はより激しくなるけど、あんまりホンモノっぽくない…
さらにSC−88Proは、今までのSC−88や、SC−55の資産が、ほぼそのまま再現できた。過去の遺産が無駄にならないところが、やっぱりいいのかも。
1999年GS衰退期
SC−88Proの後継機についていろいろな憶測で盛り上がる中、とうとう発売!SC−8850
今まで最大で2レイヤーだった音が、4レイヤーの音を搭載。これでプロ用音源と同等の音質に!!大評判間違いなし!!
っと思ったが、たいして話題にならず、、、みんなもっとインサーションエフェクトが増えるとか、もっとスペックアップを期待してたのに。 マイナーバージョンアップにとどまり、思った以上の機能アップがみられなかった。決してできの悪い音源じゃないんだけど、ガッカリ感がどうしても、、、
ソフトウエア音源の高性能化、高音質化と、音楽ファイルのネット配信も、ADSL等の通信インフラの向上で、軽いMIDIデータでなくても、 重いMP3ファイルでも、難なく配信できるようになった。
もうハードウエア音源なしに、高音質の音楽を聴けるようになった。
そんな時代背景もあってか、GS規格音源、このSC−8850で終焉を迎える。
XGには勝利したが、しかし、先を見るともうその市場はなかった。
2001年GS vs XGの戦後
昨日の敵は今日の友。ハードウエア音源の衰退と共に、GSとXGが協調する時代へ。
Roland初となるXG規格対応音源SD−80(SD−90)を発売。
※でも実際は、正式アナウンスでないとしても、SC−88Proや、SC−8850はXGフォーマットモードが存在していた!
とはいえ、XGはXGでも、XG Liteだったりで、XG最高峰音源であるMU2000のデータを 完璧に演奏できたわけでもないので、DTMerには微妙な反応。
このあと発売されるSD−20までがXG Lite対応だったが、 それ以降のSonic Cellや、SD−50からは、 正式対応を外される、、、
2007年〜GSを終えて
SC−8850のあと、 GS音源の発売はなし。(SC−8820や、SC−D70等の姉妹機は発売される。)
ローランドからは、SDシリーズなどのDTM向け音源は発売されたが、それはGS規格ではない音源。
この久しぶりに発売されたDTM向け音源Sonic Cell、この後発売されるSD−50。この2機種は、XG対応なし。ここで、ローランドのDTM向け音源終了。
ところで、互換性という面ではXGの音源のほうが優れていたように思えます。エントリーモデルから、ハイエンドモデル、 また、どの発売時期のXG音源でもXGデータならば、同じように聞こえます。でも、RolandのXG Lite対応機種のXGモードは、やっぱり無理やりGSで鳴らしているな!感が拭えなかった。
一方GS音源は、SC−88Pro等でMIDIデータを作ると、SC−55なんかでは、ほとんどまともに鳴りません。
でも下位互換はかなりキチっとできており、過去の資産を十分に活かせことができます。
しかし、GS音源終焉以降の音源は、GSには対応しているが、SC−55でもなければ、SC−8850でもない、微妙な感じで演奏される。


[トップページに戻る]


Copyright 2022 (令和四年) up-c all rights reserved